フットボリスタ・ラボ

　海外サッカー専門誌『フットボリスタ』編集長・浅野賀一です。長年温めていた構想である、フットボリスタが主催するコミュニティ「フットボリスタ・ラボ」をリリースさせていただきます。
　コンセプトは「海外と日本、ネット空間とリアルな現場、サッカー村と他分野の専門家――断絶している2つを繋ぐ架け橋へ」
　目的は2つ。
　1つは編集部、プロの書き手、読者が垣根なく議論できる「サロン空間を作ること」、もう1つはそこで生まれた知見で「新しい発想のコンテンツを作ること」。
　　この発想の原点は、私が若い頃に経験したWEB上のサロン空間にあります。私が『Variety Football』というマニアックなサッカー戦術分析サイトを運営していた2000年初頭、WEB上には『J-NET』『ル・モンド・トルシエ』など、議論することに特化した掲示板がたくさんあり、そこでは独自のサロン的な空間がありました。　　年齢や職業などを取っ払い、本気でサッカーを愛し、日本サッカー界の未来を考える人たちが日々議論を重ねる姿に20代前半の私は多くの学びを得ました。何より、それらの空間は心から楽しいものでした。そのエッセンスは、フットボリスタを制作する上での礎になっています。　　近年、SNSは発達しているものの、一定数の人たちが毎日議論を重ねるサロン的空間は減っているように思います。欧州サッカーがアカデミックな才能を取り込んで急激に飛躍しているここ数年、日本サッカーの発展のためにもユニークな人材や他分野の専門家とフラットに意見を言い合える空間を取り戻すこと、そして若い才能を発掘すること、そこにフットボリスタのリソースを投下することで新しいものを次々と生み出す、まさに「ラボ」と呼べる素晴らしいサロン空間を作りたいと願っています。　　　このラボでは、毎日WEB上での議論を重ねるだけでなく、毎月フットボリスタが厳選したユニークなゲストを迎えたリアルイベント（トークイベントやサッカー観戦会など）、フットボリスタ・ブランドのコンテンツ（雑誌、書籍、WEB）企画会議の参加権、一定のハードルはあるもののラボの内容の書籍化など、様々なチャレンジを行います。
※過去に開催されたフットボリスタのトークイベントの模様
　おかげさまで、フットボリスタは創刊から12年を迎え多くの方に愛される媒体に成長できました。しかし、これだけ世の中が変動する中では、静的にその価値を守っているだけでは維持もおぼつきません。守るべき価値は堅持しつつ、動的に、ダイナミックに変化していくことこそ、媒体の生きる道だと確信しています。　　人間一人でやることには限界があります。これまでフットボリスタで蓄積した12年の知見をすべて開放するとともに、フットボリスタ・ラボで双方向のコミュニケーションを取ることで新たな発想を生み出し、フットボリスタという媒体をより進化させていきたいと思います。私たちの新しい挑戦をともに歩む仲間になってくれる人たちを広く募集します。