心癒される演奏お届けしますー重度弱視の音楽療法士、うつ病からの再出発

私は重度の視覚障害を持って生まれました。先天性小眼球という病気で、右眼は見えず、左眼も下方一部分しか視野がありません。視力は0.05ですが手術出来ない白内障のせいで、ぼーっと見えている程度です。もちろん、眼鏡等による視力矯正は不可能です。
メガネフレームに単眼鏡を取り付けた補助具を使っての読書。パソコン作業もこうして行っています。しかし、視覚障害だけだった頃は、それほどの不便さを感じたことはありませんでした。10年前に転換性障害（精神的ストレスによる過呼吸、一過性の四肢麻痺等）とうつ病が加わって、それまでは「乗り越えられるモノ」だった視覚障害が、「乗り越えることの難しいモノ」に変身してしまいました。
精神疾患を発症する前は、単眼鏡など補助具を使って、障害のない人と変わらぬ暮らしをしていました。国内海外どこへでも一人で行きましたし、１ヶ月間一日の休みもなく働くことすらできました。
うつ病と診断され抗うつ薬治療を開始してからちょうど10年になります。何年も続いたひどい気分の落ち込みからは、最近ようやく解放されましたが、以前のような体力は戻って来ません。
昔は平気だった電車での移動が本当に辛くなりました。乗っている間は息苦しさとの闘いです。駅から自宅まで歩いて帰る道では、意識がもうろうとしています。体力の消耗があまりにもひどいので、最近は必要な時以外、電車での外出を避けています。
過敏症も、疲れやすさに追い打ちをかけます。もともと視覚情報の不足を補うために他の感覚を総動員して生活していますから、知覚過敏になるのは仕方のないことなのですが……
障害や病気というものは、掛け算です。足し算ではありません。精神疾患を患って、私は身をもってそれを知りました。
でも、自宅では、ある程度元気でいることができます。慣れた環境で、静かで、エアコンによって温度や湿度の調整が可能だからです。外部からの刺激による神経の消耗さえ避けられれば、私は働くことも可能です。障害や病気があっても、私は42才。まだまだ働きたいのです。心から。

演奏配信の他にも私には目標があります。それは、聴く人をほっとさせる演奏の技を皆さんに伝えることです。楽器は必ずしもライアーである必要はないと思っています。ドイツと日本で、すばらしい仲間たち先生たちに巡り合い教えてもらったこと、音楽の楽しさや奥深さ、演奏が人の心を癒す秘密……　そんな「伝えたいこと」を私はまだまだたくさん持っています。
　　　　　　　　　　　コミュニティメンバーさんへのライアーレッスンの様子
 大学時代ピアノが専攻だったので、私の声楽は素人同然です。しかし、うたを学ぶことは、ライアー演奏に最高の刺激を与えてくれます。偶然にYouTubeで出会ったイ・キヨン先生という韓国人のオペラコーチがいます。彼女の息を吞むほど素敵な演奏に、私の心はすっかり魅了されてしまいました。それをきっかけに、韓国歌曲をうたうようになりました。
声には、楽器演奏では伝えきれない生命の力が宿っていると感じます。いつの日か、もう少し体が元気になって、経済的な余裕が出来たら、彼女のもとへうたを習いに行くことが私の夢です。国境を越えて心をつなぐ「うた」の配信も、私の大切な目標のひとつです。

・介護の必要な家族がいる　家族が入院または入所している（特に認知症等により言葉を介しての意思疎通が難しくても、音楽は患者さまの心に届きます。）・楽器をやっているけれど、聴く人の心を癒す演奏ができるようになりたい・うつ病や障害があっても、自分らしさを活かして働く道を見つけたい（私もその一人なので、参考になることができると思います。）

このコミュニティを立ち上げたのが昨年12月ですから、もうじき10ヶ月が経とうとしています。この間に想像もしていなかった奇跡のような出来事がいくつも起きました。立ち上げ当時、私は１Kの狭いマンションに住んでいました。隣の部屋への音漏れに気を遣い、外を通る車の音に邪魔されながら、大変な思いをして演奏録音をしていました。
今年２月、突然家の目の前でアパートの解体工事が始まり、騒音でとても生活できなくなり、引っ越しを余儀なくされました。「家賃をあと１万５千円上げて、少し郊外へ移れば、自宅で音楽活動が出来る家が見つかるかも知れない……」と考えました。ちょうどその頃、コミュニティの皆さんからの支援が約１万５千円でした。
探した結果見つけたのが、今住んでいるマンションです。広い１DK、最上階の角部屋で二重窓。間取りが工夫されていて、リビングなら気兼ねなくライアーを演奏することが出来ます。ライアーレッスンも可能になりました。電子ピアノで伴奏をしながら歌の練習も出来ます。
最近は、ライアー演奏のライブ配信を始めました。毎週１回、メンバーの皆さんに向けて配信しています。録音した動画とはまったく違うコンサートに近い臨場感があり、メンバーの方々にとても喜んでいただいています。
どれも、半年前まで暮らしていた環境では到底不可能だったことです。コミュニティメンバーの皆さんのご支援のおかげで実現したことです。コミュニティには、単なる「寄付」以上の、大きなパワーがあるように感じます。これからご一緒にどんな奇跡を起こしてゆけるのか、今からわくわくしています。

工藤咲良（くどう さくら）
1979年奈良生まれ。４才からピアノを、９歳からソルフェージュを学ぶ。私立明星学園中学高等学校卒業。2002年、東海大学教養学部芸術学科音楽学課程卒業。大学在学中、父が脳卒中により他界。日本の医療の在り方に疑問を持ち、大学卒業後、(株)ダスキン「障害者リーダー育成海外研修派遣制度」より奨学金を得てドイツに留学。2003年より2008年までベルリンのアントロポゾフィー音楽療法士養成校 Musiktherapeutische Arbeitsstätte にて学ぶ。ゲーテアヌム医学セクション認定音楽療法士。海外で資格を取得した日本初のシュタイナー音楽療法士として帰国。以来、音楽療法および音楽療法士の養成に携わる。2019年、日本で13人のシュタイナー音楽療法士が誕生。それを機に講師を退職。2016年以降、ライアーによる演奏活動やライアーのための編曲、作曲等を行う。2018年秋、Clover出版の新人発掘オーディションにてグランプリに選ばれ、2020年、著書「静寂なほど人生は美しい－弱視の音楽療法士が伝える『聞こえない』音の世界」を出版。2017年より数回、韓国ソウルの音楽療法士養成校に招かれ、講師を務める。それをきっかけに韓国語学習を始め、現在も継続中。

Q: コミュニティに参加するにはCAMPFIREに登録する必要がありますか？A: はい。登録が必要です。コミュニティを退会する際はCAMPFIREのマイページから操作ができます。Q: オーナーの工藤咲良とコミュニケーションを取るにはどうしたらよいですか？A: 入会後はメールにて直接連絡が取れるようになります。入会前はこちらのお問い合わせフォームよりご連絡ください。Q: コミュニティの退会はいつでもできますか？　退会したい場合はどうすればいいですか？A: はい。いつでも可能です。ただし、お支払方法と退会のタイミングによっては翌月まで会費が引き落とされてしまう場合がありますのでご注意ください。引き落とし日の詳細と退会の仕方はこちらをご覧ください。
Q: 海外からの支援は出来ますか？A: はい。クレジットカードやPayPalにて支払いが可能です。ただし、CAMPFIREコミュニティが日本語にしか対応しておりませんのでご了承願います。

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